新築、中古物件、今住んでる家にソーラーパネルの設置を検討している人は多いと思いますが
今回では20年以上屋根職人として仕事してきて
実際に設置して思ったこと、お勧めしない理由を職人目線から超詳しく初心者目線で分かりやすく解説していきますね
正直この記事見ると、検討している人には申し訳無いですがソーラーパネル設置する気が全くなくなります
前向きに検討している人すいません...
この記事は太陽光発電自体を批判しているのではなく、有効に計画的に考えていかないと意味がないということです
屋根にソーラーパネルはどの家でもお勧めはしない
見出しにも書いていますが結論から言います
新築、中古物件、今住んでる家にソーラーパネルの設置は絶対につけるなとは言わないがメリットはほとんどない!新築で優先順位は最下位レベルでその他は正直つける意味がわからない
が私自身が実際に設置してそして数多くのシュミレーションをして思っていることです
その理由は大きく分けて3つあり
- メンテナンス費用がかかりすぎる
- 投資の面であまりにも効果が少ない
- 家に条件や制限がかかる
1つずつ詳しく説明していきますね
メンテナンス費用がかかりすぎる
ソーラーパネルは設置したらもう一生何もしなくてもいいと思っている人が多いですが、残念ながら様々な維持費用がかかります
具体的には
- パワーコンディショナーの交換
- 火災保険に入らないといけない
- 撤去費用が高い
- 確率は低いが配線を使っている以上、劣化による火災のリスク
が挙げられます
因みにこれらの維持費用は、災害などの緊急時は含まれていません
パワーコンディショナーの交換
パラーコンディショナーは略して(パワコン)とも言います (以下パワコンと略す)
パワコンはソーラーパネルを設置する上でなくてはならない物で
役割としては、主にソーラーパネルによって創った電気を家庭用に変換する役割があります
後は災害などがあった時の自立運転機能
これは停電などがあった時に自動で太陽光で創った電気に切り替える仕組みで災害に備えるための機能です
パワコンはすごく便利なものに変わりはないのですが
取り付け工事に20万円〜30万円かかり
パワコンの寿命は10年から20年ほどです
それの撤去費用と新しいパワコンの設置費用がかかります
結構しますよね
正直投資の観点から見て、パワコンだけでこの維持費はかなり痛いですよね
火災保険に入らなければならない
ソーラーパネルの設置は保険に入らないといけません
メーカー保証というのはありますが
これは各メーカーの補償期間内に不具合があった場合に適用され
自然災害によって不具合があった時などは対象外となる可能性がある
というか保険会社も普通に色々言ってきて今回は対象外ですって普通に言ってきますよ(笑)
保険会社も基本は保険金払いたくないので...
火災保険は、台風などで物が飛んできた時による破損などは火災保険だけでは対象外が多いです
一般的にソーラー設置の保険は
- 火災保険
- 動産総合保険
があります
動産総合保険は飛び石などの物による破損も対象に入っています
どちらがいいというのは各保険会社のプランによって違いますが
この2つは基本的に保証範囲が重なる点も多く
違いは電気系は火災保険のみの対象が多いです
(例えばパワコンのショートやスパークなど)
保険の年間の保険料ですが
火災保険は年間約2万円以下
動産総合保険は年間約4万円以下
ぐらいが目安となり
どちらか一方の加入だけで問題ありませんがそれでも年間2万円〜4万円ぐらいかかります
その他の保険
保険は他にもあって
- 休業補償保険
- 賠償責任保険
があります
簡単に言うと自然災害で発電が停止するとその期間の売電収入はありませんが休業補償保険に入っていると支払われます
賠償責任保険は、火災などで近隣にも被害が出た場合や台風などで他の家にパネルが飛んでいって破損させた時に支払われる保険です
この2つとも年間8000円前後の保険料で
火災保険とセットでの加入が一般的です
ソーラーパネルの撤去費用が高い
ソーラーパネルは屋根に設置が基本なのですが
ソーラーパネル以外に屋根も劣化していきます
各屋根材のメンテナンスや修理などは
ソーラーパネルが施行の邪魔になるので一回全て撤去する必要があります
また屋根施行完了後にまた設置してもらわないといけません
なのでその都度業者にお願いする必要があり
このコストがかなり痛い...
また、ソーラーパネルは稀ではあるが火災のリスクもあります
ソーラーパネルは配線や回路があり
この配線周りの施工不良や劣化などでかなり確率は低いですが火災に繋がることもあります
火災保険で補えるでしょうが見えないお金はたくさん出ていくのが想像できてしまいますね
投資の面であまりにも効果が少ない
次に投資の面ですが
売電価格があまりにも安すぎる
ことが挙げられます
もう少し具体的に言うと
- 売電価格が昔の半分
- 国や市からの補助金もほとんど支給されなくなった
この2つが挙げられます
昔は1kWh40円ぐらいでしたが、今は、で1kWh19円で
これは昔の半分です
確かに昔に比べてソーラーの性能や耐久力も上がり施工費もかなり安くなってきましたが
それでも半分は正直かなりきついです
しかも年々売電価格は下がっていて、2022年では1kWh17円の予定で
たくさんソーラーパネルを屋根に設置するコストと売電価格が割りに合わないので
投資目的(売電目的)で屋根にソーラーパネルを載せまくるのは絶対にやめた方がいいです
家に制限や条件がかかる
ソーラーパネルを設置するからには、なるべくいい環境で発電効率あげたいですよね
ソーラーパネルは設置すべき方角と発電効率のいい角度があります
ソーラーパネルは南に向けて30度に前後に傾けるのが理想
これがソーラーパネルの最適な設置の方法です
しかし、そう都合よくはいきません
- 電柱や電線に隣の家の影などが少しでもあると発電効率は悪くなる
- 新築なら土地を探すだけで大変で周りの環境に影響される
- 将来的に高い建物が立たない場所であることも大事
これらの問題があります
ソーラーパネルは横列で1枚でも影ができると発電が悪くなる
みんな勘違いしている人が多いですがソーラーパネルは横列で配線が繋がっています
下の図のように
横5枚のパネルの内、左の1枚だけほんの少し電線で影ができただけでも5枚全体の発電効率に影響します
このように
ソーラーパネルを屋根に設置する場合全てのソーラーパネルが完全に太陽光に当たらなければなりません
ソーラーパネルに設置できる土地探しや将来高い建物が立たない場所が大事
ソーラーパネルは少しの影でも発電に影響するデリケートな物なので
新築なら十分に設置できる土地や将来高い建物も立たない場所で家を建てなければいけません
中古物件や今住んでる家にマンションなどの影がある場合は全く性能を発揮できないので注意が必要です
このことから
ソーラーパネルを設置できる家は限られるという事を覚える必要があります
ソーラーパネルは全否定でいいの?
では、絶対にソーラーパネルはつけてはいけないものなのでしょうか?
そもそも太陽光発電はエコなので地球環境に優しい物です
ソーラーパネルをつける事は全く問題ありません
大事なのはしっかりとした計画を立てていける人であるかどうかという事です
ソーラー設置の立地条件把握や自分の家に必要な実際の発電量など自分でしっかりと管理できる人ならば長期的に見てプラスにもっていけるでしょう
しかし、これは新築に限ってのことです
そしてつけてもいい!ぐらいのレベルで、決して超オススメというわけではありません
新築であれば、ちゃんと把握していればつけても問題ありませんが
中古物件など新築以外は、メリットが皆無なのでつける必要はありません
中古物件は築年数が経っているので他のメンテナンスと重なることも多いです
また中古物件やリフォーム物件は基本屋根は触りません
なのでソーラーパネル設置した翌年に屋根の劣化で雨漏りして撤去なんてことも普通にあります
ソーラーパネルは長期的に使う物でメンテナンスも基本設置した会社でしてもらった方が金額も安くなります
また、ソーラーパネルのメーカーはここ最近倒産している数も多く
せっかく設置したのに後は知らないパターンが起こり得るので
大手も絶対に潰れない訳ではありませんが、やはり大手工務店やハウスメーカーに依頼するのが
ソーラーの場合は安心です
まとめると
ここまで読んでみてソーラーパネルつける気が失せたかもしれません
私は屋根職人として、実際に設置やお客様から相談されたり実際の声をたくさん聞いてきました
その中で私は、お客様が特に考えもしないでソーラーパネルをつけている人が多すぎることに気づきました
見た目や知り合いが設置しているからなど、ただつけたら得するぐらいしか思っていない人が多いのです
ソーラーは投資面が非常に大きいです
初期投資にメンテナンス費用や毎月の決して安くない保険料と災害が起こらなかったとしても回収するのはかなりきついので
しっかり考えて選択をしないと決して回収する事はできません
それどころかメンテナンスでかなりのマイナスになってしまいます
ソーラーパネルの設置についてまとめると
- ソーラー設置はリスクがある
- リスクはメンテナンスや投資の問題や家の条件など
- 新築ならちゃんと考えてる人ならつけてもいい
- 新築以外はつける価値はない
- ソーラー設置は大手工務店やハウスメーカーにお願いする
となります
ソーラーパネルの設置を検討している人や知り合いに聞かれた時はぜひこの記事を教えてあげてください
私は、新築にしてもソーラーパネルは設置はしません
その分内装など違うとこにソーラーパネル代を使います