瓦屋根の補修や雨漏りの修理の時に『コーキング』という建材を使うことがあります。
『コーキング??てなに?』
と思う人もたくさんいると思いますが、簡単にいうと気密性や防水性の向上を目的として隙間などを埋める役割がある建材のことです。
風呂や洗面器の縁によく施工されているよ!
一見、屋根に関係なさそうな建材ですが、実は屋根用のコーキングもあったりします。
ですが、ネットなどで調べるとネガティブな投稿や考え方が結構目につきますよね。
例えばこんなこと!
- コーキングでの修理やメンテナンスは意味がない
- 瓦のコーキング工事は騙されている
- コーキングによる瓦のずれ防止はデメリットしかない
- コーキング工事は本当の職人がやる工事ではない
- コーキング工事すれば屋根が終わる
- いい加減な業者はみんなコーキング工事進めてくる
- 瓦全体にコーキングなんて汚くなるし詐欺まがい
など、調べたらキリがないほど検索で出てきます...
コーキング工事で高額な金額を請求された人も実際に多いですし、『もしかして騙されてるかも?』っと常に不安が付き纏う工事なんですよね。
この記事を読んでいる人も瓦にコーキング工事することが、本当にいいのか分からなくて調べているのだと思います。
重要ポイント
- コーキングでの瓦の修理やズレの防止は本当に意味がある工事なのか?
- コーキング工事の重要性や実際に工事することでどのように変わるのか?
- コーキング工事のリスクは?
- コーキング工事の正しい施工方法は?
このような疑問に20年間、屋根職人として5000件以上の屋根工事してきた僕が、分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば瓦のコーキング工事について正しく理解することができますよ。
【瓦屋根】コーキング工事は熟練の職人による正しい施工方法で屋根の強度が跳ね上がる!
まず、最初にコーキングについて簡単に説明しておきますね。
冒頭でも少し触れましたが、コーキングとは主に防水目的で使う建材の一つで、建築業界では広く一般的に使われるものになります。
本来は防水目的なのですが、それにプラスして高い接着性から屋根材の強風や地震のような災害で効果を発揮するコーキングが開発されるようになりました。
屋根に使うコーキングとは、雨漏りなどの防水と強風や地震のような災害に特化した建材ということになります。
瓦と瓦を強固に密着させることができるんだ!
これを踏まえて瓦にコーキング工事は本当に必要なのか?について結論を先に言うと
結論
瓦屋根のコーキング工事は、ある程度年数が経っている家限定で屋根の状態によっては必須レベルの工事方法(新築の瓦屋根には必要ない)
コーキング工事というのは、主に修理後にする工事なのです。
どんな家でもコーキング工事できる訳じゃないんだ!
そして屋根のコーキング工事は、熟練の屋根職人による施工で屋根の耐久が飛躍的に上がります。
熟練の職人でないと...ってとこが気になりますよね!
後で詳しく解説しますが、コーキング工事はリスクと隣り合わせの工事なのです。
コーキング工事は高い技術力と経験がないと、工事することで更に屋根の状態が悪化してしまうリスクがあるので、施工してもらう職人の質が非常に大事になってきます。
コーキング工事は経験がすごく重要なんだ!
熟練の職人による正しい施工方法とは、水流れを理解している屋根職人のことを指しています。
水の流れを理解していることで雨漏りや長く持たせることができる屋根の修理をすることができるんですね。
要は、施工する業者が全てということです。
ちなみに屋根の修理で失敗しない業者の探し方や選び方を完全ガイドしている記事があるので、業者選びで悩んでいる人は是非読んでみて下さい。
ネットなどでコーキング工事のことを調べて見ると、コーキング工事自体を批判している記事をよく見かけます。
要するに施工方法自体の批判をしているんですね!
なので調べている多くの人がコーキングで修理すること自体が問題だと認識してしまっています。
間違った認識を持ってしまっている人が残念だけど多いね...
ではどのような工事(コーキングによる)が正しいのか?ですが、今から説明することは非常に重要なので覚えておいて下さい。
まず大前提として屋根のコーキング工事をする上で1番重要なことは
超重要ポイント
屋根のコーキング工事は修理やメンテナンス前にすることはあり得ない(コーキングのみの工事)
ということです。
要するに、瓦にコーキングだけをする工事というには、存在しないということなんです。
あくまでコーキング工事は最後にする工事なんですよね。
コーキング工事する前にしなければいけないことがあるんだ!
具体的な工事方法を言うと
コーキング工事
- 瓦のズレを直した後にコーキング工事
- 破損瓦を交換して他にも破損瓦がないか確認した後にコーキング工事
このように修理した後に仕上げとしてコーキング工事をするものなのです。
コーキング工事だけだと瓦がズレたまま工事してしまう可能性あるもんね。
コーキング工事は、メンテナンスした後や修理後など最後にしないと全く意味のない工事ということになるのですが、逆にメンテナンスの後や修理後にすると屋根がかなり丈夫になって耐久が飛躍的に上がります。
屋根修理やメンテナンスなどコーキングを使う場面
瓦にコーキングを使う場面は、工事内容によって様々な理由があります。
主なコーキングを使う場面や工事はこちら!
コーキングを使う場面
- 新築や葺き替え施行時
- 雨漏りした時
- 雨漏りを未然に防ぐため(修理や瓦のズレ直し含む)
- 台風などでズレたり歪んだりしないように(ズレ防止)
に分けられます。
(修理や補修以外にも新築の施工も含む)
それぞれ詳しく説明していきますね。
新築や葺き替え施行時
新築や新しい瓦を葺き替えする時に瓦の急所(雨漏りする可能性の高い箇所)を塞ぐ工程の際にコーキングを使用します。
この場合、主に防水を目的としてコーキングを使用しているよ!
分かりやすい箇所で言うと
- 釘やビスの穴を埋める
- 頂上部の施工された瓦や斜めに切った瓦などを固定するため
- 瓦や役物(軒やケラバなどの金属部分)を切ったり穴を開けたりした箇所の穴埋め
防水目的のコーキング使用は、瓦以外にも全ての屋根材の施工マニュアルに記載されていることなので業者にとって一般的です。
この工程を怠るということは、【手抜き工事】ということになるので、大問題となってしまいます。
雨漏りした時
雨漏りが発生した時、雨漏り箇所を補修するためにコーキングを使います。
コーキングの最大の特徴は防水だから雨漏り補修ではよく使われるよ!
例を出すと
『金属部が錆びて穴が開いてしまった事による雨漏りで、穴を塞ぐためにコーキングで穴を埋める工事をした!』などです。
雨漏りを未然に防ぐため
メンテナンス時や屋根の修理中など、何らかの理由で雨漏りする可能性がある箇所を発見した際に、雨漏りを未然に防ぐために問題があった箇所にコーキングを使います。
修理中に結構雨漏りしそうな箇所見つけること多いね。
この場合も基本的に防水目的(雨漏りしないため)の工事と言えます。
覚えておきたいポイント
屋根修理は防水目的でコーキング使用することは一般的!
ですが例外もあって
屋根の雨漏りは、破損部以外にも瓦のズレやガタつきによっても起こることがあり、多くは定期メンテナンスなどによって見つけることができます。
この瓦のズレやガタつきを直す際にコーキングを使用することが多いです。
瓦のズレを直してから固定するためにコーキング使うんだ!
屋根は定期的にメンテナンスは必須なので、今は問題なくても将来は雨漏りする可能性がある箇所にもコーキングすることもあるのです。
ちなみに屋根メンテナンスの必要性やその理由については、こちらで詳しく解説しているので、読んでみてください。
コーキングを使うにしても使うべき理由がちゃんとあるんだ!
台風などでズレたり歪んだりしないように
大型の台風が来るから急に不安になって屋根が問題ないか業者に見てもらう人がいます。
ほとんどの人が瓦が飛ばないかどうかの心配だね!
最初の方でも触れましたが、コーキングは接着性が非常に高い建材と説明しました。
なので、この場合のコーキング工事は防水目的ではなく、ズレ防止や飛ばされない為の耐久工事になります。
工事内容を簡単に言うと『コーキングによって瓦と瓦を接着する!』です。
全ての瓦にコーキングを適切な箇所にすることで屋根全体が1枚の瓦のようになり、暴風に特化した屋根になります。
適切な施工方法ですごく丈夫な屋根になるんだよ!
コーキングに工事は数多くある施工方法の1つなので、屋根の耐久性を上げるために使用するかは職人や業者の判断となります。
『瓦にコーキングは絶対するな!』なぜ?
屋根に(特に瓦に)コーキングすることを嫌う職人や業者がいます。
特に、お寺や入母屋(いりもや)など、いぶし瓦のような日本瓦を扱う職人や業者に多い印象ですね。
理由は様々ですが、1番の理由は『見栄えが悪いから』です。
お寺にベタベタコーキングがついていたら美しい...とはいえない外観になっちゃうんだ!
屋根業者は屋根のプロである以上、見栄えも当然重視しないといけないんですよね。
ですがもう1つ重要な理由があります。
コーキング工事はやり直しの効かない工事なので、施工に失敗すると取り返しがつかなくなるからです。
何となくで工事してしまうと逆に悪化してしまい、しかもやり直しもできない...という事態になってしまい大問題に...
コーキング工事のトラブルはすごく多いんだ。
安易にコーキングして、ちゃんとしてる屋根業者まで影響が及ぶのでコーキングするな!となるんですね。
瓦は水が効率よく流れるように設計されていて、コーキングをすることで少なからず水の流れが変わります。
水の流れを理解するには長年の経験が非常に重要になってきて、コーキング工事は皆さんが思っている以上に繊細な工事なのです。
超重要ポイント
水の流れを読める人でないとコーキング工事をすることはできない!!
コーキング工事は、経験が少ない屋根業者ではできない工事なのです。
実際問題、経験豊富でコーキング工事できる人は少ないんだ。
そのためコーキング工事に否定的な人は『コーキング工事=トラブル』と思っていて、しないでくれ...となるんですね。
屋根修理でコーキング工事が必要な理由
コーキング工事はトラブルの多い工事と上記で説明しましたが、実は僕自身も数えきれないほどコーキング工事をしてきています。
そして僕は、コーキング工事は絶対に必要な工事だとも思っています。
コーキング工事でお客さんの悩みが解消されたこともたくさん経験したね。
コーキング工事を否定している人は、『破損箇所を全部バラして1からやり直したらいい!』とか『葺き替えした方が確実』などと思っている人が大半です。
確かに全ての現場でそのように工事すればコーキング工事しなくても修理できると思います...が僕自身、20年以上屋根工事に携わってきて、そんなに単純にはいかないことも経験しています。
それは、『お客さんによって生活環境が違い悩みもそれぞれ』ということ!
家によって金銭的余裕も悩みも違うよね。
具体的にはこんな理由!
- 雨漏りだけ止めてくれたらいい
- 見栄えは全く気にならないからしっかり直してほしい
- 少ない予算だけどしっかり直したい
- 古過ぎる家だから家にお金はかけたくない
- 住んでない物件だから最低限の修理だけでいい
などですね。
お客さんによって要求が違うよね。
葺き替えた方が確実だけど、そこまで予算がない...という人も多いハズで、業者の提案には手が出せない人も多いのが現実です。
だけど、葺き替えよりも安価なコーキング工事することでまだ屋根が持つなら...
このような人のためにコーキング工事が必要だと僕は思っています。
いろんな選択肢を提示してあげることでお客さん自身が選べるようにしてあげたいんだ!
コーキング工事自体がマニュアルにない工事ですが、お客さんの求めている工事って時にはマニュアル通りとはいかないんですよね...
しっかりと耐久性を持たせて尚且つ雨漏りもしない屋根に修理できたのならば、コーキング工事は大成功だと僕は思っています。
コーキング工事をする上での大原則
上記でも説明しましたが、コーキング工事をする上での1番大事なことをもう一回おさらいしておきます。
大原則
コーキング工事は修理やメンテナンスが終わった後にする工事!!
だということです。
コーキング工事は基本的にズレを直した後など、その後動かないように固定する目的で使用します。
瓦が歪んでいるなら、その歪みを直してからコーキング工事する!みたいな感じです。
『コーキング工事だけする』工事はあり得ないよ!
理由は1度コーキング工事をすると、やり直しが非常に手間で広範囲だと修理自体が不可能になるからです。
工事する職人の経験や技術が重要になるよ。
このことからコーキング工事は、『職人や業者を選ぶ工事!』なんですよね。
ただ、これだけコーキング工事でトラブルが起きていて、まして『職人や業者を選ぶ!』と言われたら業者探しに不安がある人もいるでしょう。
自分でネットで探して見てもいいですが、完全に運になり工事が終わるまで不安だと思います。
もし今この記事を読んでいて屋根の業者探しに悩んでいるなら安心してもらっても大丈夫です!
僕の長年の経験から瓦のコーキング工事も、他の工事もしっかりできる業者探し方については、下記で詳しく解説しているので読んでみて下さい。
また業者もそのまま探すことができますので、ぜひ!
コーキング工事をする上での注意点とリスク
先程も説明しましたが、コーキング工事の正確なマニュアルはありません。
とはいえ、実際に屋根用として製品も開発されていますし、使用している業者もたくさんいます。
大事なのは、その必要性を理解した上で適切な箇所で適切な工事と順序を守ることです。
正しく使用して順序を守ることで雨漏りも防ぐことができて屋根もさらに強固になるよ。
具体的にはこんなところですね。
正しいコーキングの注意点
- 水に流れを意識
- 防水目的なら確実に塞ぐ(塞ぎ切れていなかったら逆効果)題
少し詳しく見ていきます。
水の流れを意識
瓦にコーキング工事をすると水の流れが変わります。
簡単な例を挙げるというと、何もついていない瓦と物が付着している瓦では、付着している瓦の方が水の流れが変わりますよね。
これは付着している箇所が雨水の流れをを止めることで通常とは違う流れ方をするからです。
不規則な水の流れが瓦の上で膨らんだり溜まったりすることで雨漏りの危険性があります。
コーキング工事する際は、この水の流れが工事後も問題なく流れるようにしなくてはなりません。
常に水がどう流れるか想像しながらコーキングを使用しないとだめなんだ!
せっかく工事したのに余計悪化する可能性もあるので、水の流れを考えながら工事することが重要になってきます。
防水目的なら確実に塞ぐ
コーキング工事の注意点として破損箇所や穴は確実に塞ぐ!です。
塞ぎきれていなかったり忘れていたりするとコーキング工事の意味がありません。
特にコーキング箇所が多かったりすると忘れや穴が完全に塞がっていないようなミスが起こることもある!
防水目的のコーキング工事は、ミスや忘れは絶対に許されない...工事だということです。
なので、実はかなり難易度の高い工事だったりします。
多少の経験している職人では荷が重い工事なんだよね。
とはいえ重要なのは、経験よりも念入りに確認する姿勢なので結局は工事する職人の気質によるものが多いです。
経験ある職人でも見過ごしは絶対あるので、念入りに何回も確認できる職人がコーキング工事に向いているといえますね。
コーキング工事のリスクについて
コーキング工事のリスクについて解説します。
上記でも説明しましたが、コーキング工事は1度してしまうとやり直しがきかない工事になることが多い工事です。
屋根全体にコーキング工事してしまうと剥がす手間がすごいんだ!
なので、しっかりと考えて工事する必要があるんですね。
そして何について考えるかというとズバリ【雨漏り】です。
雨漏りがコーキング工事で最大のリスクとなります。
主に3つリスクがあって
- コーキング工事するだけでリスク
- 水の流れを変えてしまうことによる雨漏りリスク
- 穴や破損部を塞ぎきれていないことによる雨漏りリスク
意外かもですが、コーキング工事するだけで多少のリスクがあります。
コーキング工事以外にも、ソーラーパネルなど屋根に何かをした場合は、全て雨漏りのリスクがあるので注意が必要なんです。
後は、何回か説明してきている『水の流れを変えてしまうこと』と破損部をしっかり埋めていないことによる雨漏りのリスク!
どれもトラブルの種類は同じ雨漏りなんだ。
コーキング工事は、適当にするとかなりの確率で雨漏りします。
なので、『いかに雨漏りしないように意味のある工事ができるか』どうかが、コーキング工事のポイントになるんですね。
【まとめ】コーキング工事は業者説明を聞けばコーキング施工可能な業者か見極められる
僕は20年以上、屋根工事で数多くの現場でコーキングを使用してきています。
それこそいろんなパターンの屋根で使用してきました。
なので自分で言うのもなんですがコーキング工事については、かなり理解しています。
数えきれない程現場をこなしてきたからね。
僕がここまでコーキング工事について説明しているのは
『ただ瓦を止めればいい!』みたいな安易な考えの職人がしたコーキング工事によって、屋根がさらに悪化して修理不能になってしまった家を数多く見てきたからなんです。
コーキング工事は屋根全体を細かく見れる人のみが使用すべき建材であり、人(職人)を選ぶ建材であるということ!!
なぜなら、やり直しのきかない工事で責任も重く、その後の屋根の状態が大きく変わる可能性があるから。
コーキング工事は責任が伴う工事なんだ!
間違っても「屋根の瓦がズレているからコーキングで止めましょう!』っといってズレたまま止めるような工事はご法度!
業者にコーキング工事を勧められたら、必ずちゃんと修理してからするか様子を見ましょう。
特にメンテナンス後にコーキング工事する説明があるかどうかを意識して聞いてみるといいよ!
いきなりコーキング瓦全部にする!みたいな業者はお断りして問題ありません。
いくら有名な業者だったとしても断言しますが、100パーセントいい加減な業者なので!!
コーキング工事は工事の順序が1番大事なので、ぜひ覚えておいて下さいね。